GTS1000の吸気系チューニング
吸気を疑う前に
- チェーンが弛んでいませんか?
チェーンの弛みによってこの症状が発生することがあります。
作業に入る前に
- エアクリーナ交換の検討
EFIエンジンですので空気の量を調整します。(燃料噴射量はバイクまかせです。)調整範囲は意外と少ないです。
エアクリーナ交換時期の方は、作業前に部品を準備しましょう。
使用工具
- 手回り工具(スパナ、ドライバー等一般工具)
- バキュームゲージ(キャブレター同調調整用)
- アダプター(純正特殊工具。1個1000円位。)
- デジタルテスター(DC1V以下なので正確なデジタルが良い。)
- CO・HCテスター(無くても良い)
- サービスマニュアル(あれば便利。場合によっては必要となる。)
作業内容を熟読し、よく理解してから作業に入って下さい。
この作業マニュアルは、上記工具の使用経験のある方を対象にしています。まず信頼できるショップに相談されることをお奨めします。
調整手順
- エンジンを完全暖気する。走行後が良い。
- エアクリーナの交換、清掃を行う。必要の無い場合は省略してもよい。
交換の良否に迷う方は、思い切って交換しましょう。
- 左右サイドカウルを外す。アッパーカウルは外さなくてよい。
- フューエルタンクをバイクの左側へずらす。適当な台に乗せると良い。(エンジンを始動するので、配線・配管は外さない。)
- サービスマニュアルのある方は6へ、無い方は7へ。
- サービスマニュアルの吸入空気同調調整(Intake Air Pressure Syncro.)を行う。(本編3-19)調整完了後、10へ。
- 各気筒のインテークマニホルド中間に付いているバキューム計測用6角ボルトを外し、アダプター(特殊工具)を取り付ける。
- バキュームゲージをセットし、エンジンを始動する。以下の基準値に全気筒を合わせる。(吸気管圧力の調整)
- 26.32〜32.9kPa(200〜250mmHg) at 950〜1050rpm
(250mmHg付近への調整をお奨めします。)
- 調整はエアスクリュに(各気筒スロットルマニホルド中央部の斜め横についている、外側を向いた調整ネジ)で行う。
- (警告)スロットルバルブ調整スクリュ(スロットルマニホルド間のリンク部に有りスクリュは上を向いている)は絶対に触らない。
- (告知)基準値に調整できないときは、測定、調整作業に問題があるか、吸入系のエンジン内外に異常があるかのどちらかが考えられます。
- (ヒント)できるだけエアスクリュの調整を緩み側へ行ってください。(吸気管圧力が負圧側に大きい方。)
但し、過度の緩みに注意してください。スクリュが外れそうになります。
- エンジンアイドルを1000rpmに調整し、VTA端子の電圧が0.625〜0.630Vにあることを確認する。
- VTA端子の場所は、エンジンコンピュータ(バッテリーの上)の16ピンのコネクタの上側の3つ目です。
「3つ目」の数え方は、隣の26ピンコネクタのある側から数えてください。
エンジンを始動するので、コネクタはコンピュータに接続した状態です。
- 測定電圧が低いので、(-)テストリードは必ずバッテリと接続してください。
- VTA電圧はエンジン回転数に応じて変化します。測定電圧が明らかに異なる場合は、VTA電圧かどうか、今一度確認してください。
- 電圧が基準値以外の場合は、吸気管圧力の調整範囲内(もちろん全気筒が同じ値を示していること)を再度確認する。
吸気管圧力が正常で、VTA電圧が基準値を外れる場合は、エンジンコンピュータの横にある4個の穴の中のスクリュにて調整する。
- 目盛は1〜3まであり、3がリッチ(濃い)側です。特段の理由が無い限り、各気筒を同じ目盛に調整してください。
- CO・HCテスターがあれば、COの濃度を測定する。基準値は各シリンダ毎に下記の通り。
- 外した部品を組み付けて試乗し、調子を確認する。不具合が解消しない場合は調整作業に戻る。
各部が正常で、電圧や吸気管圧力も正常で、不具合が解消しない場合はスロットルポジションセンサを点検します。
この作業は、必ずサービスマニュアルに従い作業してください。
この作業に関して、日本語版訳者、掲載者は実効を得ていますが、作業の実行に関してはあくまでも自己責任でお願いします。
原版製作:Paul Tissink
原版公開:Robert Wilson
日本語版製作:坂田孝司・他
First version: 23 Apr. 1999
Second version: 23 Jun. 2000
gts1000-admin@gentei.org